鳳龍弐号の通信機器やアンテナ機構、通信システム、回線計算、通信可能領域などを紹介しています。
通信系の仕様 | |||
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機器 | 型番 | 詳細 | |
トランスミッタ | TXE430MFMCW-301A
(Beacon/Telementry) |
430Mhz 0.8M トランスミッタ(1200bps)
サイズ 88.5(100)×60×10.5mm 重量 60g |
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受信機 | RXE145M-301A(Command) | 145MHzレシーバー
サイズ 60×50×10.5mm 重量 38g |
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モデム | CMX868 | FSK Bell 202 |
鳳龍弐号に搭載されているアンテナの仕様を表2に示します。
アンテナ収納、展開時の様子などと以下の図で示しています。
アンテナ仕様 | ||||
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周波数 | ANT | Gain | 長さ | |
ダウンリンク | 437.375MHz | ダイポールANT | 0.24dBi | 170mm |
アップリンク | 145MHz帯 | モノポールANT | -0.7dBi | 530mm |
ダウンリンクする内容:ビーコン、テレメトリ
アップリンクする内容:テレメトリ
図1, アンテナ収納状況
図2, アンテナ展開状態
図3, アンテナ展開機構
図4, アンテナ展開基板
アンテナ展開機構は図5に示すような回路で構成されており、アンテナ展開専用の電源(単3電池一本)を用いてニクロム線の熱でアンテナを固定しているテグスを切断する仕組みになっています。
図5, アンテナ展開回路
衛星では図6のようなシステムで通信を行います。
通信モードは通常運用モード・FM送信モードの二つがあります。
この繰り返しが通常運用モードです。
※鳳龍弐号では耐宇宙での信頼度が高いPICが主導権を持っているため、ある一定時間にFM送信が終了しない場合はCOMが強制的にFMモードを終了させ、通常運用モードになるように設計してあります。
鳳龍は地球から約700km離れた軌道上から通信を行うことになります。
その為長距離通信による電波の減衰が通信に影響しないか、事前に確かめておく必要があります。
そこで以下の2種類の試験を行いました。
鳳龍弐号を皿倉山(北九州で最も高い山)頂上に持ち込み、九州工業大学にある地上局と通信を行いました。
皿倉山頂上と九州工業大学地上局の距離は6.3kmあり、想定される電波の減衰量はそれぞれDownlinkが101dB、Uplinkが92dBでした。結果としては地上局側でDownlink、Uplinkの成功を確認しました。
図6, 皿倉山頂上
図7, 九州工業大学地上局
Downlink試験
鳳龍弐号送信機(TXE430MFMCW-301A)とダイポールアンテナの間に減衰器を接続し、減衰量50dBの状態にしました。
受信機側では可変減衰器を接続し、減衰量を変化させながら試験を行いました。
Uplink試験
Uplink用TNCを使って送信データを変調させ、地上局無線機から送信します。
地上局無線機とアンテナの間に可変減衰器を接続し、減衰量を変化させながら試験を行いました。
図8, ダウンリンク試験
図9, 鳳龍弐号内部
図10, アップリンク試験
図11, アップリンク用TNC
表3, 試験データ | |||
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パラメータ | ダウンリンク | アップリンク | |
CW送信 | FM受信 | FM受信 | |
減衰量の限界(試験結果より) | -149dB | -154dB | -155dB |
想定される減衰量(回線計算より) | -141dB | -141dB | -131dB |
マージン | 8dB | 13dB | 24dB |
回線計算に用いたパラメータの一覧はこちらにまとめてあります。
Received Power(赤)がアンテナパターンで、TLV(Threshold Limit Value, 青)が通信の限界領域です。
青く塗りつぶされた部分が通信可能領域で、図中の角度は通信可能角度です。
図12, CW送信(Downlink) 水平方向
図13, CW送信(Downlink) 垂直方向
図14, FM送信(Downlink) 水平方向
図15, FM送信(Downlink) 垂直方向
図16, FM受信(Uplink) 水平方向
図17, FM受信(Uplink) 垂直方向