カメラ・モジュール(SCAMP)

鳳龍弐号のカメラ・モジュール、SCAMPの紹介と使用目的について説明しています。

SCAMPとは、Surrey CAMera Payloadの略語であり、CMOSカメラモジュールのことです。SCAMP系の目的は、2つあります。

1.カメラモジュールで地球の撮影を行う(撮影画像データを送信用データへ変換する

2.撮影画像を用いた地域貢献

図1, C328-7640

表1, カメラモジュール
型番 C328-7640
質量 4g
サイズ 20mm×28mm×20mm
レンズ性能 焦点距離f=4.63mm
光の強さF=2.8
視野角 57deg
IR cut filter搭載
使用電力 電圧3.3V
同期状態 60mA
非同期状態 100μA
出力画像 640×480(VGA)のJPEG画像
1枚当たり約30Kbyte以下

この電池を三直列三並列にして製作したバッテリを図4に、仕様を表1に示します。

表1、バッテリ仕様
電池電圧 3.6V
バッテリ容量 5700mAh

Solar Array

鳳龍弐号には三種類の太陽電池が搭載されており、

  • 衛星のバス用太陽電池をして使用するもの
  • ミッションで300V発電する為のもの
  • もう一つのミッション放電抑制の対策を施した太陽電池

があります。

太陽電池では日照時に受けた太陽光エネルギーを電力に変換し、各サブシステムへ電力供給し、蝕時に備えてニッケル水素電池を充電します。

図5に鳳龍の電源システム図を示します。

図5, 電源システム

Kill Switch

鳳龍弐号は運用機関終了後に電源を遮断し完全に停止することが設計要求として挙げられていました。

そこで電源系では図3中の太陽電池とバッテリ間にKill Switchを挿入し、太陽電池からでの電力が衛星内に送られないようにしました。

の詳しい仕組みを図6に示します。

図6, 電源システム

Kill Switchは地上からのアップリンクコメントで始動します。

誤って動作しないように2冗長で設計されています。

Charge & Discarge circuit

日照時にはバッテリを充電、日蝕時にはバッテリを放電します。

この動作が効率よく、動作するための充放電回路の仕組みを図7,8を用いて説明します。

図7, 太陽電池のI-V特性

図8, 発電モードとバッテリ残量

太陽電池からもっとも効率よく電力が取り出せるのが図5中のpower pointという点です。

しかしいつもこの条件で発電できるわけではない為、CVモードとPPTモードという制御を行うことによりなるべくこのpower pointで発電できるようにしようとしたのが、この充電放電回路の目的です。


PPTモード:バッテリ残量が少ない時に動作するモードで、最大の発電電力で太陽電池を発電させます。

CVモード:発電量を調節するモードであり、バッテリ残量が一定以上の時、発電電力を低下させることで充電量を減らします。


バッテリの残量が減ってくるとバッテリ電圧が下がり太陽電池からの電流が多くなります。図5で言うと発電点(赤点)が左にずれてきます。

図6でいうと、赤線が上昇する状態です。よって充放電回路はPPTモードの比率が大きくなり発電点を最高率の点へ戻そうとします。

逆に十分にバッテリが充電されている時には電流がバッテリに流れにくくなるので、図5でいうと発電点は下にさがってきます。

そこで今度はCVモードの比率を上げて発電点を元に戻すような制御を行うのです。

また、鳳龍は沿磁力線制御という受動制御方式を採用しており発生電力は周期的に変化します。